小林はこんな人間-この仕事を始めた理由①-
「なんで結婚相談所を始めたんですか」
面談の終わりごろに、けっこう聞かれます。理由を一言で答えられたことが、たぶん一度もありません。順番に書いてみます。少し長くなります。
母子家庭で育って、生物だけが好きでした
私は母子家庭で育ちました。中学のころは勉強が好きではなかったんですよ。成績も、まあ、そういう感じでした。
ただ、生物だけは別でした。クローン羊のドリーが話題になって、パラサイト・イヴが流行っていた時代です。遺伝子とか細胞とか、あのあたりの話が面白くて仕方なかった。
それで、組織培養ができる農業高校に行きました。そこから植物ウイルスの研究ができる農業大学へ。中学のときに「ここに行く」と決めて、そのとおりにした形です。
母子家庭だったので、お金のことはいつも頭にありました。高校は県立を選びました。大学は私立になってしまいましたが。
お金の感覚は、この4年で身につきました
学費は全額、奨学金でまかないました。生活費はアルバイト代です。仕送りは3万円もらっていましたが、これは家賃で消えます。
都内の3万円のアパートなので、風呂はありません。キッチンの流し台で済ませるか、大学の運動部に紛れてシャワーを借りていました。いま思うと、よく紛れていたなと思います。
苦労話をしたいわけではないんですよ。この4年で身についたものが、いまの仕事の土台になっている、という話です。
何にいくらかけるか。どこは削っていいか。ここに手をつけると生活が壊れる、という線がどこにあるか。頭ではなく体で覚えました。
お金がなくても、ある程度は暮らしていける。これを知っていると、収入の額そのものに振り回されなくなります。婚活の相談を受けるようになってから、この感覚にいちばん助けられています。
茨城の農家で、家族というものを知りました
大学の農業実習で、1か月ほど茨城の農家さんにお世話になったことがあります。
実習は学生同士でわいわいやるので、それはそれで楽しいんです。体を動かして汗をかいたあとのご飯が、本当においしい。生きている感じがしました。
ただ、農業そのものは、一人でやると孤独な仕事です。
実習先のお父さんに言われた言葉を、いまでも覚えています。
「一人で何でもやるから百姓って言うんだよ。百の知識を持つってことなんだ」
何でも自分でやって生き抜いていく。その姿に、素直にすごいなと思いました。
それ以上に心に残ったのは、そのご家族のほうでした。仲が良くて、みんなで助け合いながら農業をやっている。私はそういう家庭を見たことがなかったんです。
実習が終わって、一人になったとき、悲しくなって涙が出ました。
一人っ子の母子家庭で育ったので、一人でいることには慣れていました。慣れていたはずなのに、家族で楽しく過ごすというものを知ってしまった。知ってしまうと、もう戻れません。
自分も、温かい家庭がほしい。このときにはっきり思いました。
それで、農家にはならなかったんです
農家になれば、温かい家庭ができる。家族で少しずつ大きくしていくのは、きっと生きがいになる。そんな憧れを持ちました。
ただ、夢を叶えるにはお金が要ります。
研究も好きだったので大学院も考えましたが、これもお金がかかる。教職課程も取っていて、教師になれば奨学金が免除されるという制度を当てにしていました。正直に言えば、それ目当てです。
その制度が、一つ上の代でなくなりました。
おまけに、教員試験は不合格。
そんな中で、給与が高いと言われていた製薬会社に就職が決まって、MRとして働くことになります。
給料は上がったのに、お金は貯まらない
社会人になって、先輩方によく可愛がっていただきました。ありがたかったです。
ただ、ついこの前まで風呂なしアパートにいた人間からすると、お金の使い方に驚きました。桁が違う、というより、使う前提が違うんですよね。
そこで気づいたことがあります。給料が上がると、そのぶん浪費の癖がつく。生活水準が上がるので、かえってお金は貯まらない。
収入が増えれば安心できると思っていたので、これは意外でした。
結果として、私は両方を知っていることになります。お金がない状態でどう暮らすか。収入が増えたときに何が起きるか。どちらか片方しか知らないと、たぶんここまで言えません。
年収の数字だけでは、何も分かりません
婚活でお相手を探すとき、プロフィールの年収欄はどうしても目に入ります。見るなというほうが無理です。
ただ、その数字だけでは何も分からない、というのが私の考えです。
手取りが多くても、そのぶん使ってしまう方はいます。人並みの収入でも、毎月いくらか残している方もいます。二人で暮らすことを考えたとき、効いてくるのは額よりも使い方のほうです。
マリクションでは、収入の多い少ないで人に優劣をつける見方はしません。見ていただきたいのは、お金の感覚が合うかどうかです。何にお金をかける人か。どこを削る人か。ここがずれていると、暮らし始めてからぶつかります。
収入が高い方が良いという話でも、その逆でもありません。合うかどうか、それだけです。
仕事は面白かった。ただ、引っかかることがありました
MRは、医療機関に医薬品の情報をお届けする仕事です。人の役に立っている実感はありましたし、面白い仕事でした。
引っかかったのは、仕事の中身のほうではありません。
会社員だったころ、育休を取ろうとした同僚がいました。その人のことを、上司が裏で非難しているのを知ってしまったんです。あいつは昇進なんてありえない、と。
その場では何も言えませんでした。
ただ、これは時代に合っていないと思ったことは、はっきり覚えています。家庭を大事にしようとした人が、その分だけ損をする。私が憧れた「温かい家庭」と、働く場所が、真逆を向いていました。
ここからマネジメントというものに疑問を持つようになって、キャリアコンサルタントの資格を取りました。
ここが、いまの仕事につながっていきます。
続きます
ここまでが、結婚相談所を始める前の話です。この先に、自分自身の結婚と、そこで知ったことが続きます。②で書きます。
長くなりましたが、私がどういう人間かは、だいたい伝わったでしょうか。相談所を選ぶとき、中の人がどんな人かは気になると思います。合わないと思われたら、それはそれで構いません。
マリクションは仕事終わりでも相談できる夜型の結婚相談所です。話だけ聞いてみたいという方も、遠慮なくどうぞ。







